2010年06月18日
杉のワークデスク


あまりに雑多な自宅のパソコン周りだったので、杉の一枚板で、すっきりパソコンのワークデスクに。
おぉ、見違えるように、オシャレ(?)な出来上がりに!
愛機のマックにもピッタリのパソコン空間になりました。
杉板は幅が60センチくらいで、芯部分の「落とし」です。
この場合の「落とし」とは、板材を取った際に、割れなどが入ってモノにならない芯の部分を外す事です。
この板も小割れが入っていて、まともな一枚板としては売りにくい板。
でも、柾目は建具材が取れそうなほど、節が無く、目が通っていて、真ん中で割って使えば使い道もあるのですが、今回は、自宅用に。
厚みも「落とし」材なので、仕上がりで30ミリほど。
普段はこんな広い板を、30ミリ前後の薄い板には製材しませんから、ありそうで、無い寸法の板です。
この薄さが、すっきりとまとまる結果になりました。
でも、この広さの板で30ミリほどに仕上げたい場合、反りの直しなどを考えると、50ミリくらいの厚みで最低製材したいところです。
広くて薄い板はある意味「ぜいたくな」素材なのかもしれません。
2010年04月17日
オレンジの木


見事なオレンジ色の木肌です。
この木は何でしょう?

製材すると、木肌(樹皮)だけでなく、板の側面(しらた)もオレンジ色になります。
…なんて知ったかぶりしてみましたが、実は、こんなオレンジ色になるとは、私も今まで知りませんでした。
これは、ヤマザクラの樹皮を薄くめくると現れるオレンジ色の層です。

こんな風に巧くめくれる木は稀で、伐る時期、水の上げぐあいなどが大きく関係していると思われます。
この木から輪切りや板を作りましたが、私にとっては希少価値な材です。
しかし、このオレンジ色は、数日のみで、徐々に銅色に変わって行きます。
この銅色が桜細工によく見られる色です。
こんな風になります。

ホントに木は面白いですねっ!
2009年08月28日
上棟です。


今回も、柱は桧、梁は全て杉です。田舎なので敷地もあり、平屋の作りです。
半分以上の柱が化粧として見える真壁づくり。
杉の桁も化粧材として表しになります。

この大工さんは、いつも杉、桧を沢山使ってくれます。
普段は手刻みなのですが、時勢柄、プレカットを併用する事も。
天気も良くて、気持ちのよい上棟となりました。
2009年07月06日
アパ体験


知り合いの材木屋さんがお客さんに
「ケヤキで廊下を張りたい」
と言われたものの、無垢のケヤキで張ると坪ン十万円になってしまうとのことで、
「ケヤキの代用品で、アパという外材」
を問屋さんから勧められたそうです。
ケヤキの代用品? 似てないこともないけど…。
でもやっぱ全然違う木です。(アパ材を置いてある下がケヤキです)
アフリカケヤキとかいう名前で「ブビンガ」という木が流通したり。
ベイスギは杉よりもネズコに近い木だし。
他にも商社の人の勝手なネーミングで、訳の解らない木が出回ったりしてます。

アパというのは聞いたことの無い名前だったのですが、調べてみると、
「アパ=ドウシェ」
同じ木ですが産地で名前が違うとのこと。実はドウシェなら使ったことがあります。
「未乾燥で使っても狂わない、目減りしない、空かない、何よりも腐らない」
という木だそうで…
「ほんまかいな??????」
と疑いながらも、風呂周りに使ってみましたが、木はまだ未乾燥状態だったのですが、数年たっても
「接合部が空いていない、狂いが出ていない」
この大きな鏡も全く狂っていません。
「材木屋の常識を覆す木」
として私の記憶に残っています。
しかし、最近ある人に聞いたところ
「ケヤキよりアパの方が高いぞ」
という話で…。
問屋の人はケヤキよりアパを売りたかったのでしょうか?
…アパ体験でした。(某脳トレとは無関係です、ゴメンナサイ…)
2008年12月26日
樹種名を書くかどうか?


今まで製材したり持ち込まれたりした木を、少しずつ定型に切って樹種サンプルを作って来ました。外材も含めて、およそ50種ほど。サンプル化できなかった木もあるので、実際はそれ以上の樹種に出会っています。
よくある市販の樹種サンプル(突き板も含め)は必ず樹種名がそれぞれに付けられています。
ですが、私の集めたこの樹種サンプルは、ひとつもラベルが付けられていません。
最初は「解らなくなってしまうから付けようか」
と思っていたのですが、
「定期的に手に取って樹種判別ゲームのようにした方が覚えるかもしれない」
という判断からで、最初は不安もありました。
でも、殆どはラベルが無くても判別できます。一度自分で加工した木は、五感がなんとなく記憶しているようです。
見た目が判断の殆どですが、香りも大きな要素です。
銘木屋さん、突き板屋さんほど多くの樹種に出会っていませんが、新しい樹種に出会うと、不思議とワクワクします。
一生のうちに何種類の木と出会えるでしょうか。
2008年11月16日
見ようとして見えるもの


ちょっと前回ネタのつづきですが。
鳥見をして感じた事は、
「何故今まで身近にこんな沢山の種類の鳥がいたのに、気づかなかったのか」
という自責に近いものでした。
キツネやタヌキは名前は知っていてもそう簡単には出会えません。でも鳥は身の回りにも沢山見る事ができます。
「あ、スズメだ」
と思っても、その後を追ってよく見ると、カシラダカだったりホオジロだったりするわけで。
モノを見ようとする心が無いと、全く見えないんですね。
木の世界にはいって、真っ先に出会った難関。それが「アテ」です。
アテとは、木の内部にある癖のある部分で、シコリのようなものです。
「ほら、この木はアテがあるから内装には使えないよ」
と言われても、その「アテの目」が見えない、読めなかったのです。
「ほら、なんとなく色が違うだろう」
と言われても、何だか良く分からない。
今では笑い話でですが、最初は全く「見えない」状態でした。
見ようと努力して初めて、見えてくる。そんな感じでした。
木材の樹種についても、似た木は多く、ほんとにちょっとした雰囲気の
違いなんです。これを口や文章で説明しようとしも無理。
「口では説明できないけど、なんとなく違いが分かる」
そんな感じなのです。
鳥も熟練者になればシルエットだけで見分けられますし、何事も積み重ねた経験が大切だと感じます。
2008年09月27日
あっ、クマだ!?


工場にハイイログマ出現?!

夕暮れ時に本当にクマだと一瞬思ってしまいました。これもケヤキを製材して椅子にしたものです。屋外に置いてあるので、ずいぶん色もあせてしまいましたが、どんどんクマっぽくなっていきます(笑)。
2008年09月17日
お宮の木


お宮さんやお寺にある大きな木。でも、ウロがあったり台風で倒れたりして、製材所に持ち込まれる事もあります。
木材として使いものになるものは製材して木材にします。
でも、腐りがあったり、割れていたりすると「こんなのはいらんから引き取ってくれ」と置いて行きます。
腐りがあると、はたして木は駄目か?
ふっ、ふっ、そういう木にいいものがあるんです。
この写真の木。シラタは腐っていますが、赤身は大丈夫。シラタの腐りをかじり取ると、赤身の耳付き板になります。これが
「いいんです。」
キズの木、特に杉や桧は、キズから入った菌に負けないよう、抗菌作用を強めようとするのでしょうか、赤身が濃い、いい色になるものがあります。お宮さんやお寺の木は樹齢が高いので木目も奇麗です。
しかぁし、お宮さんの木は、恐怖も潜んでいます。これはまたの機会に。。
2008年09月13日
シルバーグレイの真価


木材を外に置くと、樹種に限らず、紫外線で焼けてシルバーグレイ色になります。
工場脇にたてかけてあったこの木、すごくいいシルバーグレイ色になりました。屋根下で適度に太陽の光が射すのがよかったのでしょうか、汚くなったり、コケが生えたりせず、味わいのある色になりました。
住宅でいうと、漆喰の穏やかなつや消しの風合い。塗装では絶対に出せません。
このシルバーグレイについては、私のHPのコラムに書いてありますので、興味のある方、よろしければこちらをご覧下さい。
鉢植えの花などのバックに使うと、とても奇麗で、よくこのシルバーグレイの木の前で写真を撮ります。

木の不思議、木の価値の見いだし方。奥が深い世界です〜。